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縄田健悟・山口裕幸 (2011).
集団間代理報復における内集団観衆効果
   社会心理学研究, 26, 167-177. [本文(PDF)]

【タイトル】
集団間代理報復における内集団観衆効果

【要約】
集団間代理報復とは、集団間関係において、当初の危害とは直接は無関係な者どうしの間で報復が生起する現象である。本研究の目的は、内集団成員から自らのふるまいを見られることが代理報復へと及ぼす影響を、小集団実験によって明らかにすることである。本実験では、連続した一対一の対戦ゲーム状況における勝者から敗者への罰金によって、攻撃行動の操作と測定を行った。実験の結果、自らの与えた罰金が内集団へと伝わるとき(内集団観衆あり条件)には、伝わらないとき(内集団観衆なし条件)よりも、外集団成員へと大きな罰金が与えられた。また、事後質問項目を用いたパス解析を行った。その結果、内集団成員が外集団成員から危害を受けたと分かる危害明示条件のみで、内集団観衆がいることで、内集団からの賞賛期待が高まり、報復動機づけが強くなる結果、罰金額が大きくなるという影響過程が示された。つまり、内集団成員から代理報復を見られているときには、自らが賞賛されると期待するために、より強い代理報復がなされたといえる。本研究の結果から、内集団成員から見られることなどの集団内過程のダイナミックスによって、集団間紛争が激化していく可能性が示唆された。

【キーワード】
集団間代理報復、集団間紛争/集団間葛藤、外集団攻撃、内集団観衆、集団内過程

最終更新日:2016/02/25

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