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縄田 健悟 (2014).
血液型と性格の無関連性――日本と米国の大規模社会調査を用いた実証的論拠――
   心理学研究, 85, 148-156.  [
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【タイトル】

血液型と性格の無関連性――日本と米国の大規模社会調査を用いた実証的論拠――

【要約】
日本の社会では,ABO式血液型と性格に関連があるという俗説が広く信じられている一方で,心理学の実証研究ではその関連性は認められていない。本研究は,血液型と性格が無関連であるより積極的な実証的根拠を提示することを目的としている。そのために,大規模調査の二次分析を行った。大規模な無作為標本抽出で日本とアメリカから合計10000以上 の標本を分析した。日本のデータセットは2004年 (N = 2878–2938)と2005年 (N = 3618–3692) であり,アメリカのデータセットは2004年 (N = 3037–3092)である。分析の結果,3つのデータセット全ての68項目中65項目で血液型間に有意な違いは確認されなかった。また,効果量η2は.003以下であり,血液型の効果は全分散の0.3%以下しか説明しなかった。以上の結果は,血液型と性格の無関連であることを示している。
 

【もっと簡単な説明】
・これまでの心理学研究でも血液型と性格に関連性が見られないことは研究されてきた。
・本研究は血液型と性格の無関連性をより積極的に示すため,
 日本とアメリカの合計10000人以上の規模のアンケートデータを元に,検討した。
・わずかな差でも検出できる大規模データにもかかわらず,一般的な生活に対する態度に関する合計68項目中65項目で血液型間に統計的に意味のある差が見られなかった。残り3項目も偶然の範囲。
・質問項目の個人差のうち血液型が説明した割合は,一番大きなものでたった0.3%。ほぼゼロだと見なせる。
・以上より,血液型と性格は無関連であるという,より強い根拠を提示した。
 

【追加分析】
⇒ この論文と同じデータセットで,血液型と職業の関連性に関して追加分析を行いました。
 結果は,血液型の偏りのある職業はほとんど見られず,やはり関連性には否定的です。
 詳しくはこちら
 (2014/08/16追記)
 

【追加分析2】
⇒ さらに,この論文と同じデータセットで,その他の項目も追加分析を行いました。
以下の変数に関しては,「日本2004」,「日本2005」,「アメリカ2004」の3つ全てのデータセットで,血液型間に有意差が一貫して得られる項目はありません。

・幸福感 →関連なし
・2、3年前と比較した幸福感 →関連なし
・利他性 →関連なし
・時間割引率 →関連なし
・消費行動 →関連なし
・喫煙の習慣 →関連なし
・飲酒の習慣 →関連なし
・ギャンブルの習慣 →関連なし
・リスクに関する認識
 - 物事を決断するとき、リスクを許容するか回避するか →関連なし
 - 傘を持って出かける降水確率 →関連なし
 - 戸締りや火の用心を気にするか →関連なし

ひとまずざっと確認できた範囲だけ。
やはり経済学の調査なので,生活やお金やリスクの変数が中心ですね。
 (2014/08/23追記)

 

【キーワード】
血液型性格関連説,血液型性格判断,血液型ステレオタイプ,パーソナリティ,疑似科学
 

最終更新日:2016/02/25

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