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縄田健悟・山口裕幸 (2012).
集団間攻撃における集合的被害感の役割 ―日中関係における検討―
   心理学研究, 83, 489-495. [ 本文(PDF) ]

【タイトル】
集団間攻撃における集合的被害感の役割 ―日中関係における検討―

【要約】
本研究の目的は,集団間関係における集合的被害感の影響を検討することである。集合的被害感とは,内集団が外集団による被害者であるという主観的信念を指す。これまでの研究では,集合的被害感は集団間紛争を激化させることが示されてきた。我々は,集合的被害感が集団間攻撃に影響する情動的影響過程には,怒りと恐怖の2つの異なる過程があると予測した。そこで,本研究では,日中関係の文脈における日本人から中国人への態度の検討を行った。その結果,集合的被害感は怒りと恐怖をともに高めていた。しかし,これら2つの情動が集団間攻撃に及ぼす効果は相反するものであった。怒りは集団間攻撃を促進する一方で,恐怖は集団間攻撃を抑制していた。また,国家主義は被害感を高めていた。以上より,集合的被害感が集団間攻撃に及ぼす情動的影響は,2種類の相反する影響があることが示された。

 

 

【キーワード】
集合的被害感,被害者意識,集団間情動,国家アイデンティティ,日中関係

最終更新日:2013/08/01

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