NAWAKEN's site研究業績 > 論文概要

Nawata, K. & Yamaguchi, H. (2013).
Intergroup retaliation and intragroup praise gain: the effect of expected cooperation from the ingroup on intergroup vicarious retribution
Asian Journal of Social Psychology,16, 279-285.

本文提供ページ(Wiley)
日本語訳本文(PDF)

【タイトル】
Intergroup retaliation and intragroup praise gain: the effect of expected cooperation from the in-group on intergroup vicarious retribution
(和題:集団間報復と集団内賞賛獲得:内集団からの協力期待が集団間代理報復に及ぼす影響)

【日本語要約】
集団間代理報復とは,外集団成員が内集団成員に攻撃したのちに,被害者集団の成員が加害者集団の成員に報復する現象である。本研究では,内集団からの協力が,賞賛獲得と拒否回避に基づく集団内評判を通じて,代理報復に及ぼす影響を検討した。本実験では,参加者は以前の対戦で外集団成員(勝者)が内集団成員(敗者)が罰金を受けたことを知らされた後に,参加者(勝者)が対戦相手に自由に罰金を与えられる場面による一対一対戦ゲームを実施した。予測通り,参加者は内集団から協力を期待されているときに,協力を期待されていないときよりも,大きな罰金を与えていた。さらに,参加者は罰金を与えることを集団内強力だと見なしていた。パス解析の結果から,賞賛獲得の媒介効果が見られた一方で,拒否回避の媒介効果は見られなかった。したがって,内集団からの協力を期待されると,仲間からの賞賛を獲得しようとして,より強い集団間代理報復がなされることが示された。本知見から集団間紛争は,協力期待と賞賛獲得という集団内評判の力学により激化することが示唆された。

【もっと簡単な説明】
・集団間代理報復とは,他集団メンバーが同集団メンバーに攻撃したのを知って,被害者集団の成員が加害者集団の成員に報復する現象である(右図)。
・これを同集団の仲間が罰金攻撃をされた後に,別の他集団メンバーに罰金攻撃を仕返しできるという実験場面で検討。
同集団メンバーから協力してほしいと期待された場合と期待されない場合で,代理報復としての罰金攻撃の金額に違いがあるかどうか検討した。
・その結果,同集団メンバーから協力を期待されたときに,罰金による代理報復攻撃が強く行われた。
・また,同集団メンバーから賞賛されることを求めて,この代理報復が行われたことも示された。
 

【補足図】

 

【日本語翻訳した図表】

 

 

【キーワード】
集団間代理報復,集団間紛争/集団間葛藤,集団間関係,報復,評判

最終更新日:2016/02/25

inserted by FC2 system