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”集団心理”を研究しています!:人間集団の
(1) の側面:集団の暴力と紛争
    1a. 集団間紛争/集団間葛藤,1b. 集団の暴力性
(2) の側面:高パフォーマンスを生み出すチームワーク
具体的な研究紹介 ピックアップ
   集団間代理報復,集合的被害感,組織のチームワーク
その他の研究

最終更新日:2017/04/23

”集団心理”を研究しています!:人間集団の

   

私,縄田健悟は,いわゆる”集団心理”を研究しています。

「集団における人間の心理と行動」が大きな研究テーマです。

人は”群れ”で暮らす生き物です。古来のサバンナやジャングルで狩猟・採集をしてきたムラ社会から,現代の高度に組織化されたビジネス産業・組織まで,集団で暮らすことが人間が他の種と異なる大きな特徴の一つです。

人は集団の中で,
 ・他成員とお互いに助け合い,
 ・他成員から仲間はずれにされないように人目を気にする一方で,
 ・他成員から賞賛され,高い地位に着くことに喜び,
 ・集団の一員として集団に愛着を持ち,
 ・ときには,他の集団と紛争状態に陥りながら,
生きています。

縄田は集団のの両側面から,人間の"集団心理"にアプローチしています。

(1). の側面:集団の暴力と紛争
  
[1a] 集団間紛争/集団間葛藤
  [1b] 集団暴力
(2).
の側面:高パフォーマンスを生み出すチームワーク

 

(1)の側面:集団の暴力と紛争

集団において人が暴力的・攻撃的になる心理を研究しています。
ともに重なるものですが,[1a] 集団間紛争と[1b]集団暴力を主な研究対象として研究しています。

[1a]. 集団間紛争/集団間葛藤

縄田の研究のメインテーマの一つは集団間紛争/集団間葛藤 (intergroup conflict) です。

集団間紛争/集団間葛藤に関する社会心理学的研究の現在の動向に関しては,レビュー論文にまとめたので,御覧ください。縄田 (2013,実験社会心理学研究)

2つ(or複数)の集団の間の関係を集団間関係 (intergroup relations) と言います。
そのうち,集団間関係が悪化し,集団と集団が互いに争いあった状態を特に集団間紛争と呼びます。
典型的なものとしては戦争や民族紛争です。戦争ほど大規模なものではなくとも,不良グループどうしの小競り合いや,職場での派閥争い,といったものも全て集団間紛争です。
このように,集団対集団で生じる争いごとがいったいなぜ起きるのか,どのように発生し,激化していくのかに関して,縄田は社会心理学,特にグループ・ダイナミックスの立場からアプローチしています。

集団間紛争に関しては,下記のキーワードに関する研究を行ってきました。

  • 集団間代理報復
  • 集合的被害感
  • 多元的無知と社会規範
  • 集団間感情
  • 攻撃者の英雄視と賞賛過程
  • 日中関係の質問票調査
  • 名誉文化と暴力
     

[1-2]. 集団の暴力性

最近は集団間紛争のみならず,より幅を広げて集団が持つ暴力性を対象に研究を進めています。
2016年に科研基盤Cに採択され,研究を進めています。

研究キーワード:
集団暴行,集団非行,ジェノサイド,暴動,没個性化,集団規範と評判,etc.



 

(2)の側面:高パフォーマンスを生み出すチームワーク

https://cdn.pixabay.com/photo/2015/10/31/12/00/meeting-1015313_960_720.jpg集団の持つ光の側面として,組織で働く人のチームワーク研究にも関わって研究を行なっています。
現在の会社組織において,優れたチームワークを発揮することは極めて重要な課題であり,その心理・行動的メカニズムの解明が求められます。

心理学では個人に着目した研究が多いのですが,特に我々は集団全体が創発するチームレベルの効果に着目した検討を行なっています。

チームワークは,1人のメンバーだけが発揮すればいいのではなく,チーム全体で発揮できないといけないわけです。

チームワークに関しては,下記のキーワードの研究を行ってきました。

  • チーム・パフォーマンス
  • チーム・プロセス
  • 暗黙の協調
  • 対人交流記憶システム(トランザクティブ・メモリー・システム)
  • チーム知性
  • チームレベル効果検証のためのマルチレベル分析(マルチレベル構造方程式モデリング)

 

具体的な研究紹介 ピックアップ

集団間代理報復

報復は紛争を激化させる重要な要因の一つです。
特に報復の中でも,集団間代理報復(intergroup vicarious retribution)と呼ばれる現象に着目しました。

集団間代理報復とは,一方の集団の成員が他方の集団へと危害を加えたときに,
被害者本人ではない人が,加害者本人ではない人に対して,仕返しをする,という現象です。

例えば,あるイスラエル人があるパレスチナ人に暴行を加えたときに,それを知った別のパレスチナ人が,また別の無関係なイスラエル人に対して,暴行をし返すといった場面が代理報復です。また,自爆テロなども,典型的な代理報復です。

代理報復では,
  ・危害を受けたわけでもない人が,
  ・危害を加えたわけでもない人に対して,
仕返しをしています。

つまり,代理報復は,元々の被害者本人でも加害者本人でもない,非当事者の間で行われています。
このように当事者ではない人を巻き込むという点で,集団間報復は通常の個人間の報復とは異なっています。

代理報復が連鎖的に起こることで,いわゆる「報復が報復を呼ぶ」という状態に陥り,元々無関係な人を巻き込みながら,集団間紛争は雪だるま式にエスカレートしていきます。
この意味で,特に集団間紛争の拡大場面において,代理報復は重要な現象だといえます。

縄田はこれまでの実験研究で

といったことを明らかにしてきました。

 

集合的被害感

代理報復では,実際の一度ないし数回の危害から生じる報復行動を検討しましたが,現実の民族間,国家間の紛争では,報復につぐ報復が生じた結果,既に双方ともに加害者でもあり被害者でもあるという状態になってしまっていることがあります。

このような場面では,むしろ主観的な被害者意識である集合的被害感が重要な役割を担うと考えられます。
つまり,「俺達こそが被害者だ」という意識が,報復的な攻撃や敵意を引き起こす結果,民族間,国家間の対立はますます激化していきます。

縄田はこれまでの調査研究で

  • 日中関係を題材に,日本人に中国人に対する態度を調査した結果,集合的被害感が怒りと恐怖を通じて,戦争支持態度を高める。また,集合的被害感の先行要因として,愛国心ではなく,国家主義が影響する (縄田・山口, 2012,心理学研究)

などを明らかにしてきました。
 

企業組織におけるチームワーク

企業組織のチームワークに関して

  • 企業のビジネスチームにおいて,チームワークは経常利益や目標達成度などのチーム業績に促進的影響がある。また,その全体的影響過程は「コミュニケーション→目標への協働→業績」という影響である (縄田・山口・波多野・青島, 2015,心理学研究)
  • 企業のビジネスチームにおいて,否定的な影響を持つ職務志向性を持つメンバーがいるチームでは,チーム全体のチームワークやチーム業績が低い(縄田・山口・波多野・青島,2015,産業 ・組織心理学研究

また,企業組織場面以外にも,模擬店や実験場面での見当も行っています。

  • 大学祭の模擬店チームにおいて,メンタルモデルが共有されたチームでは,明示的なコミュニケーションを取らずとも,高業績(目標売上の達成)をあげられる(秋保・縄田他, 2016,実験社会心理学研究)
     

などを明らかにしてきました。

 

"集団心理"以外の研究取組み

メイン研究としては集団心理学が中心なのですが,
2016年12月現在で,下記のような研究にも取り組んでいます。

  • 災害時の避難所生活を改善するレジリエンスサービスの提供 with 応用生理人類学研究センター
  • コールセンタの受電型オペレータのモチベーション向上 with 有吉美恵氏,池田浩先生,山口裕幸先生
     

また,「血液型と性格の無関連性」論文は,メディアにも広く取り上げられ,ある意味で私の一番有名な研究です。
疑似科学信奉の心理に関しても興味があるので,機会があればもう少し取り組みたいところです。

 

最終更新日:2017/04/23

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